ドローンは免許がない?資格って?最初に知るべき基本の知識を解説!

ドローンを飛ばすには免許が必要なの?無免許で法律違反になる?こんな不安をお持ちの方に、免許に関わるドローンの法律の知識と、正しい運用の資格を取得する上で厳選された講習の団体の情報を教えます。
ドローン飛行に免許は必要ない
ドローンを飛行する上で、日本には「免許」はありません。どなたでもドローンは飛ばすことが可能です。
免許とは、「官公庁が免許を発行した特定の人が、ある行為を行う許可」のことを指します。免許が必要な行為は基本的に法律で禁止されています。そのため、免許無しでその行為を行うと、無免許として法律違反になってしまいます。
例えば、自動車免許なしで公道で車を運転すると道路交通法違反になりますし、薬剤師免許無しで薬を扱うと薬事法違反になります。医師や弁護士、公認会計士なども免許が無くてはいけません。国が発行するそれぞれの免許によって、『許可』が降りて、そこで初めて車の運転などが可能になるのです。
しかし、ドローンには飛行自体を禁止する法律もありませんし、許可を降ろす国の機関もありません。そのため、ドローンには免許が存在しないと言えます。
「ドローンの免許」に相当する資格とは?
ドローンには免許はありませんが、民間の発行資格はあります。この民間資格は国として発行しているわけではなく、国土交通省が認定した民間の講習団体が発行したものになります。
主要な資格の発行を行う管理団体としては、DJI、DPA、JUIDAなどが挙げられます。
これらの団体の下には、さらに多数の講習団体やドローンスクールがあります。法人・個人に対してカリキュラムに沿った講習を行い、一定の水準までトレーニングを行った上で試験を行います。合格すると『認定資格』が発行されます。
注意すべきポイントは、この資格が国土交通省が発行したものでなく、あくまで民間企業が「一定水準の技術を有するという実力を認める」という『認定資格』になることです。それゆえこれらの資格は免許とは違い、法律的な効力はありません。
つまり、「免許は存在しないが民間の資格は存在する」「ただし、民間資格も法的効力は無いので、必ずしも取得する必要はない」というのが改めて結論となります。
資格も免許も必要ない。ただし必要知識は数多くある
ここまでの話をまとめると、「ドローンは誰でも飛行させて大丈夫」となります。民間資格も基本的には必ず取得するべきものではありません。「初めて買ったドローンが届いたから、ちょっと遠出して飛ばしてみようかな」という方でも、免許が必要ない以上法律的には全く問題ありません。
しかしながら、ドローンには、飛行前に ”必ず知る必要がある” 法律や安全運用の知識が数多くあります。これらの知識を独学で習得できるのであれば、スクール等に通う必要はありません。ただし、法律や安全運用の知識が足りないことで、うっかりと法律違反を犯してしまう可能性は大いにあります。
具体的には、航空法を知らずに違反飛行を行ってしまうこと、機体の操作ミス・整備不良による墜落、家屋や自動車などに落としてしまうケース、人に当ててしまうケース等…。初心者が『想定外』と感じるケースは数多くあり、場合によっては罰金になります。
もともとドローンは、法律がほぼありませんでした。ですが、首相官邸にドローンが墜落した事件などを受けて、ドローン規制の流れが生まれました。この墜落事件は意図的なドローンの悪用でしたが、それ以外にも逮捕された方が『想定外でした』と話す事件が多発。それを受けて2015年12月の改正航空法から法規制が始まり、現在進行形で整備され続けています。
参考:[2017年度版]ドローン関連事件・違反の19事例まとめ、その原因は?
確かに「ドローンによる事故」は規制を生み出してきました。しかしながら、そうした法律や規制強化の原因になった事故の事例の積み重なりが、同時に「どうしたら事故を起こさずに済むか」という知識や基準を生み出したのは確かです。
重要なのは、『現在のドローンの法律や安全基準を知ること』『法令を遵守すること』だけでなく、『過去に何があったのか』『なぜそういった基準が生まれたのか』といった知識を学ぶことも心掛けることです。
免許・資格をが取得する義務は確かにありません。だからこそ、ドローンを飛行する者として、正しい知識とモラルを持つ必要があります。
民間資格を取得するメリット
知識・安全運行のための技能の習得
ここまで、ドローンの飛行にはかなり知識が必要であるという話をしてきました。いわゆるドローンの講習団体や認定資格は、こういった安全に関する知識や技能を事例を交えて教えてくれるというが非常に大きなメリットとなっています。
本来であれば、『ドローンの箱を開けた瞬間知っていなければならない」という知識ばかりではありますが、それを実際に全部独学するのは相当大変です。現状、かなり知識として危うい人がドローンの飛行を行っているケースもあるかと思いますが、講習団体としては一人でも多くのきちんとした操縦士を排出することを目的に行っています。
仕事で業務を行う上でのメリット
更に申し上げると、資格・認定証を取得することには仕事上では3つのメリットがあります。
- 国土交通省への飛行許可申請時の「10時間飛行実績」の証明書としての活用
*人口集中地区での飛行などの特別な飛行を求められる際は、国交省からの許可・承認が必要になり、国交省は、民間団体の証明書を参照にしているとコメントしています。 - クライアント向け説明資料
- 飛行時の関係各所向け説明資料
*飛行実績を対外的に証明してくれるので、飛行する際の土地所有者への説明としては非常に有用です(筆者体験談)。
このように、ドローンスクールは世間的に見て「操縦士の信頼」を最低限保障してくれます。
主な講習団体
国土交通省では、「無人航空機の講習及び管理団体一覧」という一覧を掲載しています。この中では、認定資格を発行している民間団体のリストを公開しています。今回は、その中でも管理団体として最も代表的な3つの認定団体を紹介します。
DJI CAMP
ドローン最大手メーカーDJI JAPANが主催する、ドローン講習プログラムで、合格すると「DJIスペシャリスト」として認定される。実際の運用は、DJI JAPANの認定を受けた「DJIインストラクター」が在籍する企業によって各県で講座が開催されている。
審査項目としては、正しい知識、正しい操縦方法、そして飛行モラルを習得しているかが評価される。
*DJIスペシャリスト資格取得者はドローン保険料も割引になるなど、特典もある。
DJIスペシャリスト | |
受講料 | 59,000円〜 |
認定書発行費用 | 15,000円 |
資格更新料 | 15,000円/2年 |
受講条件 | 10時間以上の飛行経験を有すること |
日数 | 2日間 |
弊社で行っているDJIスペシャリスト認定はこちらです。
その他、DJI傘下の講習団体が行っている日程表はこちらです。
https://www.djicamp.dojapan.co.jp/
DPA(一般社団法人ドローン操縦士協会)
正式名称は、「一般社団法人ドローン操縦士協会」。特徴として、各省庁の次官経験者などが、集まり設立されている。設立目的として、ドローン運用の国家資格化とその整備をあげており、「DPA技能認定資格」を発行している。
主要都市を中心に、認定ドローン教習所を複数開校しており、特徴として都内にも「大規模なドローン飛行場」を同時開設している点が挙げられる。
東京都内、大阪などでも本格的なドローン操縦訓練を行えるのは非常に強み。
ドローン操縦士 回転翼3級 | |
受講料 | 20万円 |
認定書発行費用 | 15,000円 |
資格更新料 | 9,000円/2年 |
受講条件 | 10時間以上の飛行経験を有すること |
日数 | 2日間 |
DPA:資格認定事業
https://d-pa.or.jp/project/certification/
JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)
団体としては一番古くからあり、業界としても知名度が高いです。一方で、認定のスクールが乱立状態となっており、「講師陣や授業内容」で質の担保少し厳しい現状だと見受けられます。『10時間の飛行時間を授業内で保障』という内容もありますが、実際の所ほとんどドローンに触る時間を設けていない所が多いようです。
ドローン操縦士 操縦技能証明 | |
受講料 | 25万円前後 |
認定書発行費用 | 20,000円 |
資格更新料 | 7,000円/2年 |
受講条件 | なし |
日数 | 3日 |
JUIDA認定スクール一覧:
資格取得の前に:押さえておくべき基本のルール
まずは飛行禁止空域を押さえよう
ドローンの飛行空域を規制している改正航空法では、以下の3つの飛行禁止エリアが規定されています。この飛行禁止エリアを飛行させる場合、国の機関への申請と許可が必要です。
引用:国土交通省ホームページ
上の図のように、これら3つが飛行禁止区域となります。(クリックして頂くと、詳しい説明に飛びます。)
・人口集中地区(DID地区)の上空
重量200g以上で規制対象のドローンを、上記の飛行エリア内で使用する場合は許可や申請が必要になってきます。
なお、最も気をつける必要があるのは人口集中地区です。都市部ではほとんどの地域が人口集中地区に指定されていますので、気をつけてください。
こちらの「国土地理院図 人口集中地区」の赤いエリアが人口集中地区に該当します。
200g未満のホビードローンの利点
日本でドローン飛ばすにあたって、200gという重量の基準は非常に重要です。前項で述べた改正航空法は、200g以上にのみ適応されるからです。それゆえ、ドローンの総重量が200g未満の場合、航空法の適用外になります。
現在流通している、200g前後の小型な「ホビードローン」と呼ばれる種類のドローンは航空法の対象にならないため、練習用としては最適です。
都市部(特に東京都内)はほとんどの範囲が人口密集地域なので、練習は基本的にホビードローンで行うのが良いです。それ以外にも、大きいドローンを購入する前にホビードローンを購入して、実際の操縦感覚を身につけることを推奨します。
オススメのホビードローンに関してはこちらの記事で特集しています。
【2018年更新】ドローン講師が教える、1万円前後のおすすめドローン3選+1選
飛行方法の制限とは?
しかしながら、ホビードローンであっても飛行方法によっては法律上の制限が加わることがあります。それが以下になります。
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること
- 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
- 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
- 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
- 爆発物など危険物を輸送しないこと
- 無人航空機から物を投下しないこと
これらのどれかに該当する場合は、申請が必要となります。書類に必要事項の記入を行い、指定された機関に提出を行うことで認可されます。
申請自体は難しくないですが、基本的に認可されるのは業務での使用がメインで、趣味での空撮の申請は厳しいです。それゆえ、上記の条件下では基本的に飛行は行わないように気をつけましょう。
取得を推奨する資格・そうでない資格
ドローン検定
ドローン飛行に関する安全知識と、用語や機体の構造といった基礎知識から、飛行に関する特性、電気電子工学、航空力学、気象学、関連法規などといった航空に関するの知識を学び、筆記テスト認定を得ることができます。
ただし、基本的に座学であるため、自分自身でドローンの操縦を行う人にはオススメできません。DJI, DPA, JUIDAの資格は操縦士としての一定の技能を証明してくれます。しかし、ドローン検定に関しては、「知識がある」という認定であるため、持っていたからといってドローン関係者の間で信頼を得られるものではないことに留意しておくべきでしょう。
第3級陸上特殊無線技士免許
空撮業務を行うにあたって、『第3級陸上特殊無線技士の免許が必要』と書かれている方はいらっしゃいますが、その必要性があるシチュエーションは特にありません。
アマチュア無線4級
「普通の機体で普通に空撮を行う分には問題ない」という話をしてきましたが、こちらは特殊な機体を扱う際に必要な免許になります。最近「ドローンレース」という名前で加熱している、FPVのドローンレースに参加するためにはこの資格が必要となります。
というのも、FPVで使用される電波が5.8GHzであり、この周波数帯は、日本国内では免許が必要になるためです。このアマチュア無線4級はそれに該当します。
アマチュア無線4級の取得には、国家試験を受験するか、養成課程講習会を受講するという2種類の方法があります。オススメなのは講習会を受講ことで、その後に行われる修了試験でアマチュア無線4級を取得出来る点がポイントです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、ドローンにおいては、国が発行する免許は存在しないこと、民間が発行する認定資格はあること。その認定資格の意義と発行団体。そして航空法に関する最低限の知識について見てきました。
我々ドローン講習を行っている身としては、本来『ドローンを開けた瞬間に知っていなければならないこと』を、きちんと教えられずに飛行を行っている人が多数居ることを、非常に憂慮しております。
ドローンはご存知の通り危険と隣り合わせのものです。実際のところ独学だけでは不完全で、きちんとした内容の講習を受ける必要は間違いなくあると考えています。
ただし、民間の認定資格を取得しようとして正しい知識を教えてくれるスクールに通うと、それだけで20万円近くのお金が取られてしまったり、『この資格でドローンパイロットになれる』といった安易な煽りが横行している現状は良くないと考えています。
そうした課題意識を持った上で、弊社ではドローン最大手メーカーDJIの公式の認定団体として、DJI CAMPを『質の高い講習をきちんと誰もが受講可能な値段で』運営を行っています。ぜひご興味があれば、お問い合わせを頂ければと思います。
